早朝。

そこには、川中島へ出陣しようとする武田軍が。
信玄と謙信の決着をつけるべく、上杉軍と戦をしようというのだ。

出陣する者たちの表情は、皆一様に勇ましい。
しかし見送るは、今にも泣き出しそうにしている。


「ほらちゃん、そんな顔しない。戦なんてこれまで何回もしてきたでしょ」
「そうですけど」


戦の事情は全く知らないでも分かる。
今までの戦とは規模が違う。
第一に、兵の数が違う。

確かに幾度も出陣を見送った。
しかしこれほどに兵が多いことなど、見たことがない。


「心配なんです。帰ってこないんじゃないか、って」
「いやー嬉しいこと言ってくれるね。俺様役得」


泣きそうになっているに、佐助は呑気にそう言った。
そして、大丈夫、と先程よりいくらか低い声で続ける。


「ちゃんと帰ってくるよ」
「絶対ですよ」
「うん」
「約束ですよ」
「うん」


いつまでも続くかと思われたその会話が、突然途切れ、佐助はついにが泣き出したかと思ったが、そうではなかった。
さっきまで俯き気味だったは、今はしっかり顔を持ち上げていて、微笑んでいた。


「いってらっしゃい、佐助さん」
「ありがとう、いってきます」


やっと笑顔になったに、佐助は安心したように立ち去る。

は名残惜しそうに暫くその場から動かなかったが、その顔は笑顔だった。




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ベリーショート再び。
心配症ヒロイン。


090830