武田軍は小田原侵攻の真っ最中。
と佐助は潜入捜査を任されていた。
広い小田原城を最速、内密に調べあげるため、と2人が任されたのだ。
潜入捜査と言っても、目的の巻物を探すだけのことだが。
侵攻の最中に潜入をするなど、多くない。
むしろ皆無に等しい。
何か理由があるはずだが、信玄の考えることは読めない。
「……こっちはない、か」
二手に別れて、半分ずつ探していたのだが、どうやらの方にはなかったらしい。
もう佐助は探し出して、待ち合わせた場所にいるだろう。
ふざけていることも多いが、あれでも忍隊の隊長だ。
実力は飛び抜けている。
はずだったのだが、なぜか佐助はまだ、待ち合わせの場所にはいなかった。
こういう場合はどうするべきなのだろう。
調べる場所は、ほぼ平等に分けたはずだ。
そして佐助の実力は自分より遥か上なはず。
辿り着く答えは一つ。
「何か、あった」
動かない方がいいのか、とも思った。
それでも動かずにはいられなかった。
***
探し回るのは必死だった。
しかし、簡単には見つからない。
不安が最高潮に達したとき、近くで戦とは違う喧騒が聞こえてきた。
敵に見付からないように近くまで行くと、血塗れで敵と戦う佐助の姿があった。
は急いで応戦する。
突然出てきたに、佐助は驚いてはいたが、すぐに経緯を説明してくれた。
巻物は、佐助やを足止めするための囮。
巻物を見つけた瞬間、大量の忍や足軽が攻撃してきたらしい。
「怪我、大丈夫ですか?」
「うん、このぐらいなら」
佐助は血塗れではあるが、全てが彼の血ではない。
それでも服は所々裂け、傷も少なくはなさそうだ。
が応戦したことで、敵の数は一気に減った。
と思われたが、急にまた増える。
「……おかしい。敵が湧きすぎてる」
ですよね、とが呟いたとき、頭上から次々と大きな爆弾を背負った兵が降ってきた。
大きさと量を見て、その場にいる誰もが目を見開く。
も驚きから反応が遅れ、避けることが出来ず、死を覚悟する。
しかし軽い痛みはあったものの、死とは程遠い。
疑問に思って目を開けてみると、暗くて分かりにくかったが、見慣れた迷彩だということが分かった。
状況は把握しても、すぐには動けず、頭上からの声してやっと我に帰る。
「お、長! なんで!」
「……静かに、しろ。はこの場から逃げろ」
きっと佐助は重傷だ。
なのになぜ自分だけ逃がそうとするのだ。
「また、ここに敵が来る……一人なら、逃げられる」
「そんな事……!」
「我が儘言ってる場合じゃない! 軍に戻って、伝えるんだ。小田原には他の軍も混じっていることを」
「でも……!」
「今なら逃げ切れる……決断は大将に任せる」
「絶対にまた、来ます」
涙が溢れそうなのを堪え、佐助を置いて、軍の本陣を目指す。
感情を抑えられるほど、まだ忍にはなりきれなかったこと、何より固まってしまった自分に悔いながら。
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***
寝不足の犯行。
あれ、台詞が…ちが、う?←
100817