001
ハートの海賊団にとって、久しぶりの島だったのに、そこは無人島だった。
その事実にクルーたちは、それはそれは残念がっていた。
でもログが溜まるまでは島を離れられないので、島に降りる者もいれば、船に残る者もいる。
船長であるローも、少しでも気分転換に、と無人島を散歩するつもりだった。
しかし5分程歩いた所で12歳程の少女が倒れていたのを発見し、散歩は終了。
少女の身体には、刀傷が多くあり、明らかに事故ではないと解る。
おい、と肩を揺すってみても、反応はない。
軽く溜め息をつき、気分転換にもならなかったな、と思いつつも、彼女を抱き上げ、船へと治療に向かう自分は、なんだかんだ言って、お人好しだと思う。
抱き上げてみて初めて気が付いたが、彼女の腰には、身長の割には長い剣が刺されていた。
恐らく彼女の武器なのだろう。
彼女を助けようと思ったのは、ほとんど気まぐれだが、幼い少女には相応しいとは言えない傷といい、釣り合わない剣といい、ローの興味をそそるのには充分だった。
「……急ぐか」
傷の様子から見て、それほど時間は経っていないが、出血がひどい。
止血に相応しいものはこの場にはないし、船はそう遠くない。
下手に止血するよりも、船に戻った方が懸命だろう。
冷静にそう判断し、船へと走る。
勿論、船に戻ったローの腕の中の少女を見て、すれ違ったクルー全員が振り返った。
声をかけてくる者さえいたが、後で説明する、とだけ言って船医室に入る。
ローは見た目に反して、船長兼船医。
慣れた手つきで消毒や止血を行う。
全てを治療し終わると、彼女の身体は包帯だらけで呼吸器をつけられ、点滴までされている。
まだ安心はできないが、今できることはここまでだろう、と一度少女の血で汚れた服から着替えようと、隣の船長室へと移動する。
着替え終わったところで、クルーの1人(白くまだが)のベポが控えめなノックをして中に入ってきた。
「ベポか。どうした」
「さっきキャプテン、血だらけの女の子連れてきてたから。助かったか知りたくて」
こいつも見てたのか、と思ったが、他のクルーは興味津々だったのに対して、ベポは本気で心配していたらしい。
「とりあえず生きてる。丁度良かった。ベポ、あの子供を見ててくれ。何かあったら知らせに来い」
「アイアイ」
「俺は出港の指示をしてくる」
「あの子、そのまま乗せてっちゃっていいの?」
「問題ないさ。助けてやったんだから文句は言わせねぇし、このままクルーにするつもりだしな」
ローの言った言葉にベポは耳を疑う。
普段から気分屋のローだが、まだ幼い少女を船に乗せるなど、信じられなかった。
「大丈夫だ。推測だが、あいつは戦える」
「推測で決めちゃっていいの? 本人の意思だって」
「大丈夫さ。俺が見つけなかったらあいつは死んでた」
そういう問題じゃない、と言いたかったが、ローの言葉が妙に自信に満ち溢れていて、反論出来なかった。
「わかったら行ってこい」
「……アイアイ」
←Back Menu Next→
***
気分屋外科医。
ローもそうだけど、ハートの海賊団、ラブ! ←
100812