010













もうは充分にこの船に慣れ、平気だと、勝手に思っていた。
最初は、おどおどと船員たちに接していたのに対して、今は普通に喋るようにはなっているのを見て、安心しすぎたのかもしれない。

はきっと、自分に話した以上に辛い経験をしてきただろう。
とにかくには、この船での生活に慣れてもらう他ない。




***




ローから逃げるようにして、シャワーを浴びに来た。
勘違いをたくさんして、たくさん泣いて、たくさんローに迷惑をかけたから。
ローへの迷惑など、今に始まったことじゃないのかもしれないけれど。

それでもローは自分を嫌いにはならないと言ってくれた。
そしていつも通り頭を撫でてくれた。

子供扱いをしていての行動なのかもしれないが、にとって何より安心する。

冷静になってみると、臆病な自分が嫌になる。
臆病にならなくたって、ハートの海賊団のみんなは、自分を避けることはないし、いつだって優しい。
以前とは違うんだ。

村での暮らしが、自分をここまで臆病にさせている。
そこまでは理解していても、それを振り払えない。


「…時間が解決、してくれるといいなぁ」


汗も涙もシャワーで洗い流し、少しは心機一転。
目が腫れていたが、気にしない。

いつも通り、いつも通り、と船長室のドアを開ける。
いつも通りローは、ソファーで本を読んでいた。

これならいつも通りできそう。
ローはが戻ったのを見て、本を閉じる。
大丈夫、いつも通り。


、無理しなくていい。甘えたいときは甘えていい」


だから泣くな、とローは言う。

いつも通りじゃない。

大丈夫だと思ってたが、ローの一言で、また涙腺は崩壊。
泣くなと言われたのに、即泣いてしまった。
でも今回は不安からの涙ではなく、嬉し泣き。


「ありがとう、ございます」


今度は謝罪の言葉じゃなくて、感謝の言葉を紡ぐ。
それを聞いて満足したのか、乱暴にの頭を掻き回すロー。


「分かったら、早く泣き止め。今日は宴だ」


うたげ、うたげ。
と、は間抜けに復唱。

どうやらの引き出しの中に、宴という単語はなかったらしい。


「そのうち分かる」


後1時間もすれば、クルー達が騒ぎ出すだろうから。




←Back Menu Next→


***
一件落着。

100831