015
敵船は、乗り移られないようにか、少し離れていたが、小柄な体のは、身軽に飛び上がって乗り移る。
乗り移れないと思った距離を、飛び移ったに、敵船のクルーは驚いていたが、一人なことに気付き、すぐに一斉に襲ってきた。
襲ってくる男たちは、楽々と薙ぎ倒せるような実力のものばかりで、すぐにはクルーを10人ほど倒した。
しかしその中に船長らしき者はいなかったように思う。
あまり多いとは言えないクルーが伸びてしまい、活気のなくなった船内は静まり返っている。
「この船の船長さん、出てきてください!」
自分が倒した男たちの中に、実は船長が紛れていたのか。
弱いからこその不意討ちか、あれは。
もしまだ船内に潜んでいるとしても、出てくることはないと思っていたが、予想外にもそれらしき人物が出てきた。
しかもいつか見たことのある顔。
「誰かと思えば可愛いお嬢ちゃんかい。随分お転婆だな」
「なめないで。あなた、億越えの賞金首ですよね」
「間違いない」
「随分と卑怯な手を何度も使ってきたんですね」
嫌味たらしく挑発したつもりだったが、相手は気味悪い笑みを剥がさない。
「億越えはそんなに楽じゃねーよ。嬢ちゃんこそ、なめるなよ」
「な……っ!」
すぐ脇まで迫った刃物を、自身の剣でぎりぎり受け止める。
「嬢ちゃんもやるねぇ。でも所詮この程度」
今度は声を出す余裕もなかった。
気付いたら身体にたくさんの何かが刺さっていて、次いで経験したこともない痛みが襲う。
「俺はトゲトゲの実の能力者。急所は外したか。だが次で最後だ」
人差し指を鋭利な凶器に変え、の心臓に狙いを定める。
「…ROOM」
意識が遠退きそうになったの耳に届いた声は、今や随分聞きなれたもの。
「……キャ、プ…テン…」
やっとのことで声を絞り出したときには、の心臓を狙っていたものは消えていて、代わりにドボン、という何かが海に落ちる音がした。
霞む視界に入ったのは、海水をたくさん吸った服から着替えたローの姿。
すぐにひょいと持ち上げられ、浮遊感の後、見慣れた船にいた。
「あの船から宝と食料を奪って来い」
近くにいたクルーにそんな指示をするローの声が、いつもより至近距離で聞こえる。
の記憶はここまでだった。
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101003