016
2日後に目を覚ましたのもとにいたのはローだった。
「キャプ、テン、あの……」
久しぶりに声を出したせいか、途切れ途切れになってしまった。
「なんで一人で敵船に行った」
「誰も、敵船に渡れそうもなかったので……」
本当のところは、不意討ちというのが許せなかった。
一番利口で確実ではあるが、戦闘を知らないにとっては卑怯に思えて仕方がない。
そんな形でローが負けっぱなしというのが、とにかく嫌だった。
「あいつが億超えだということは」
「……顔を見た瞬間、わかりました」
「ならなんでそのときに逃げなかった」
「……」
普段は無愛想で、感情をあまり表に出さない彼だが、数日一緒に過ごして少しは変化がわかるようになった。
恐らく今はご立腹。
無愛想な彼が怒るとこんなにも怖いものなのか。
「ごめん、なさい……!」
それだけ言って、痛む体に鞭を打ち、ローの横をすり抜けて部屋を飛び出した。
ローが呼び止めるのが聞こえたが、止まることができなかった。
誰にも見つからないように、と倉庫の箱と箱の間に身を隠す。
小柄なが体を丸く縮めれば、容易に全身が隠れてしまう。
だが。
「? もう動いて大丈夫なの?」
あっさり見つかった。
「ベポ……! お願い、誰にも! キャプテンにも言わないで……っ!」
「でも、すごい怪我だったんじゃ…」
「大丈夫、だから……」
傷口がずきずき痛む。
その痛みは傷口が開いたことを表すものだと、すぐに分かったが、今はそんなことはどうでもいい。
「何があったの?」
「……こわいの……嫌われるのが…」
ここで今まで溜め込んでいた涙がついに決壊した。
ごしごしと袖で涙ふいてていたら、どこからかため息か聞こえてきた。
その聞き覚えるのある声にびくりと肩が震える。
また怒られる、とびくびくしていたが、ローがとった行動は予想外のものだった。
が目をつぶってる間に、ひょいと体を持ち上げられ、荷物よろしく部屋まで運ばれた。
ベッドに放られることもなく、優しく下ろされ、は何も出来ずに呆けてしまう。
「……あ、の…!」
「前にも言ったが」
やっとの思いで紡いだの言葉はあっさり切られた。
「この船の誰もお前を嫌いにならねぇよ」
「でも…っ……!」
「嫌いだったら怒らねぇ」
段々混乱で意味が分からなくなってきた。
怒られた記憶など、もう残っていないにとって、嫌いだから怒るのだと思っていた。
「死なれたら困る」
「えっ」
「だからもう無茶するな」
はまだ意味がわかりきってない様子だったが、お構い無しに服を脱がせ、開いた傷の治療を始める。
「ごめんなさい」
「謝るな」
「ありがとうございます」
「あぁ」
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120409