022













丁度陽が傾き始めた頃、船は島に到着した。
何度か島には上陸したが、こんなにも気乗りのしない上陸は初めてである。

それはだけのようで、他のクルーはとても嬉しそうだ。

海軍の駐屯地があるというのに、そんなことは気に留める様子もない。
買い出し組だけはつなぎを脱いで行くようだが、他のクルーはつなぎのまま島に繰り出すらしい。
海賊のシンボルが入ったそれは、海軍の目についたら一発でバレる。

なんて島中に顔が知られてるということもで、シャチに無理矢理キャスケット帽を借りたりと必死だというのに。
は本音を言うと、島に降りたくないのだが、荷物を取りにいけというローの命令で、降りないわけにはいかなくなった。

結局流れに流されて、長く世話になった叔母宅の前に来てしまった。
しかもローは外で待つと言う。

早く行けと急かされるものだから、嫌々ながらも勢いに任せてドアを開けた。

鍵が閉まっていて、中に誰もいない。
とかそういうオチを期待していたのだが、ドアを開けてまず叔母と目が合ってしまった。


「……あんた」
「あ、あの……荷物を、取りに来ました……」
「どの面下げて……!」
「……すぐ出て行きますので」


とりあえず衣類などは買ってもらったのでいらないが、両親の写真は持って行きたい。


(良かった。捨てられてない)


もしかしたら自分の持ち物などすべて処分されているかと思ったが、出て行ったときのままだった。

他に必要なものも思いつかず、両親の写真のみ手に取り、出て行こうとしたのだが、叔母によって進路を塞がれた。
手には銃を持っている。
なんとなく予想してた事態なだけに、は妙に冷静だった。

殺されるのもありかな、とは思ったが、今の幸せな暮らしをもっと続けたい気持ちが勝った。


「ごめんなさい」


迷惑ばかりかけて。

素早く後ろに回り込んで、後ろから首に峰打ちをする。
一応刀を持って来ていて良かった。
身長が足りなくて、手刀で気絶させるなど不可能だ。


(……さっさと船戻ろう)


外に出ると、が家に入って行ったときのままの体制で立っていた。


「それだけでいいのか」
「他に思い入れのあるものはないので」
「そうか」


わざわざ来た意味はあったのだろうか、とも思うが、両親の写真は持っておきたかったのでよしとする。

でもそのまま平和に船に戻れることはなかった。




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120923