025
そろそろこの船に拾われて数ヶ月が経つ。
ふと雑用をやっているクルーを見つけて、思ったことがある。
「わたしにも洗濯教えてください!」
「おう、。どうしたいきなり」
「わたしも雑用します」
この船のクルーはあまり人数が多くないということもあり、全員が雑用をこなしている気がする。
実際のところはどうなのか知らない。
でも新入りの自分が雑用を一切やっていないことに対して妙な罪悪感を覚えた。
少しでも自分ができることをしよう、と小さな決意。
***
「何やってるの、?」
洗濯を教えてもらったので、黙々と洗濯をこなしていたところ、背後から聞き慣れた声が。
振り返ると、予想通り白熊が立っていて、可愛らしい目をこちらに向けている。
「わたしも雑用覚えようと思って」
「なんで?」
「何もしてなかったから」
んー、んー、と何かに納得してない様子のベポ。
どうやら雑用をサボるクルーは多くいても、自ら雑用をしようとするクルーはいないらしい。
「何か役に立ちたかったの。お世話になってばかりだったから」
「みんなが大好きなだけだよ?」
「ありがとう」
何か雑用でもやってる方が自分自身が安心する。
勝手にやっていることでも、自分が誰かに必要とされている気がして。
「何やってる」
ベポと入れ替わりで来たのは、この船で唯一雑用をやっていないと思われる人物。
「洗濯です。わたしこれから皆さんのお仕事を手伝おうと思ってるんです」
そう言いながら洗濯を続けるが擦っているものが、たまたまクルーの一人の下着で。
思わずの白くて細い腕を掴んで止めさせた。
「何か間違ってました?」
これまで洗濯などしたことのない自分の洗濯のやり方が間違ってるとでも思ったんだろう。
しかしそんな理由で洗濯を止めたわけではなく、単純に気に入らなかったのだ。
クルーが着ているつなぎならまだいい。
だがどうしても男の下着を洗っているのだけはたまらなく気に入らない。
依然不思議そうな顔をしたままのの腕を掴んだまま、返事も聞かずに連れ出した。
「ちょ、キャプテン!どうしたんですか!」
まだ洗濯の途中!と騒ぎたてるをそのまま船長室まで無理矢理引っ張る。
「誰かに洗濯をしろとでも言われたのか」
部屋に着くなり、機嫌が悪いローに尋問される。
何かまずいことをしてしまったかと、脳をフル回転するも、にはローの考えていることが全くわからなかった。
「ただ、わたしが、洗濯を、雑用をやらせてほしいと、頼んだんです……」
機嫌の悪いときのローは、ただただ怖い。
だからつい歯切れの悪い返事になってしまった。
また逃げ出したくなったが、ローが怒ってるときには何か理由があると以前学んだことを思い出し、ぐっと堪える。
「何かわたし、いけないことでもしましたか?」
「いや……」
今度はローが言葉に詰まる番だった。
は何も悪いことはしていない。
ただつまらない独占欲が邪魔しただけだ。
このくだらない感情を誤魔化すように、この部屋を掃除しろと言うと、渋々といった感じで、積み重なった医学書たちを几帳面に本棚に収納し始めた。
―――独占欲が強いのはいつものことだけれども、
―――――なんだかいつもと違う気がして。
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130411