「ケーキの作り方、教えてください!」


珍しく食堂に一人でやってきたと思ったら、そう言った
全てが唐突すぎて、反応に困る。


「ケーキ……か?」
「そう!」


ここまで来て、コックの方は何かを納得したような表情を見せた。


「船長か?」
「内緒の方向でお願いします」
「よし、やるか」
「はい!」




***




それを聞いたのはつい先ほどのこと。
シャチがふと思い出したようにに教えてくれたのである。


「お祝いしないの?」
「船長そういうの好きじゃないからなー」
「うーん……」


両親が死んだ次の年の誕生日はなかなか辛かった記憶がある。

誰も祝ってくれない。
お祝いの一言もないなんて、と密かに涙を零したものだ。

次第にそんな扱いも当たり前だと思い、なんとも思わなくなったが。

それから誕生日と言えばケーキ。
どうせなら自分で手作りしたい。
と、思いつき、冒頭の行動に出た。

コックと真剣に話し合った結果、甘さは控えるべきという結論に。
それならクリームもない方がいいだろう。

いろいろとローの好みを考慮した結果、シフォンケーキならいいのでは、というコックが提案する。
ケーキの種類など全然わからないは、とりあえず頷くことしかできなかったが、コックに(ほとんど)手伝ってもらってなんとかきれいなものが完成した。

ちょうどいいサイズに切ってもらって、コーヒーと一緒に船長室へ。
船長室の前までは軽い足取りだったのだが、扉の前に立つと、急に緊張する。
そういえば、お祝いはあまり好きじゃないと言っていた。

……嫌がられたらどうしよう。


「どうした」
(あ、なんかデジャビュ)


前にも経験したような光景に途端に緊張が解れ、なんだか笑えてきた。


「キャプテン、誕生日おめでとう!」


きょとん、という表現がよく合いそうな表情だった。
すぐに自身の誕生日だということを思い出したらしく、素っ気ない返事が返ってきた。


「ケーキ作ったの!」


ほとんど作ったのはコックさんだということは心に閉まっておこう。


「お前がか?」
「……はい」


そんなに料理ができなさそうか。
実際にできないけど。


「は、早く食べてください!」


恥ずかしさから無理矢理ローの前に皿を差し出す。
そしてローは無言でそれを口に運んだ。


「……うまいな」
「本当ですか!?」


また意外そうな顔をしていたが、そこは気にしないでおこう。
こうも素直に美味しいと言ってもらえるのは嬉しいものだ。

特に普段あまり褒めるという行為をしないこのローだから。




(さすがうちのコックは腕が良い)
(ひどい! ちゃんとわたしも手伝いました!)
(手伝いな)




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***
2日遅れ…
ローさんおめでとうございます!

121008