戦により、家族を亡くしたは、幸村の厚意により、上田城で女中として雇ってもらっている。
上田城に勤め始めてから何年も経ち、仕事も慣れた。
そのため、仕事と仕事の合間に暇もできるようになり、休憩と言ってボーっとすることも多くなった。
現在その真っ最中。
だったのだが、の前を突然、城主である幸村が慌ただしく通り過ぎたことで意識がフっと戻された。
そのすぐ後ろを忍であるはずの佐助が着いて行く。
お供、というよりは追いかけている。
「旦那! また団子隠れ食いしたでしょ!」
「だ、だから済まぬと!」
「何回謝れば済むの!」
上田の日常風景。
最初のころはいつも幸村を追いかけている佐助を、付き人なんだと勘違いしていたものだ。
忍と知った今でも、忍のあるべき姿というものとは大分異なる佐助に疑問だらけ。
二人が去った後もずっと廊下の先を見つめて謎の多い佐助のことばかり考えてしまう。
「おっと、仕事、仕事」
誰に聞かれることもない独り言をつぶやき、立ち上がったところで目の前に思わぬ人物が。
「あれ、旦那見なかった?」
「あ、え、あの……さっき……あれ?」
「そういえばさっきもここにいた子だよねー、その後ここには来てないということね」
決して狭くない城を一周したところでどうやら幸村を見失ったらしい。
しかし探すのを諦める気は全くないらしく、サボりはよくないよー、とまたすぐに行ってしまった。
「仕事!」
初めてかもしれない佐助との会話に、赤らんだ頬を自らの手で一喝し、仕事に戻る。
惹かれる、惹かれる
(叶わぬと分かっているのに)
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***
よくわからないことに。
120831
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