重々しく瞼を持ち上げたら、目の前に広がる景色はどこも屍の山。
いつから自分は寝ていたのか。
なぜこんなところに寝ていたのか。
そんなことを考えるより早く吐き気が込み上げてきた。
A Time . -01-
最初は当然夢かと思った。
しかし匂ってくる鉄の匂いは、間違いなく現実のもの。
完全に覚醒したの身体は、確実にその状況を拒絶した。
込み上げてきた吐き気をなんとか飲み込み、必死で森を目指して走った。
森に入っても、匂いが鼻の奥に残っている。
深く深呼吸をして、なんとか忘れようとするが、忘れられるはずがない。
一度寝れば忘れるかと思い、目を閉じても、浮かび上がってくる死体の山。
何も出来ず、込み上げてくるのは吐き気と涙だけ。
そんな状態のまま何回目かの夜が訪れた。
何日も一睡もせず、水さえも飲んでいない。
そろそろ意識も朦朧とし始めた時、突然後ろから首にひやりとした物が当てられた。
「あんた何者? その年で迷子はないよね」
そう言われても、なかなか頭が回らず、かっこいい声だなあ、なんて場違いなことを思ったが、さすがに振り返ることはしなかった。
「どうなの?」
再び問いかける声で、やっと大体の状況が理解できた。
首に当てつけられているのは、ほぼ間違いなく刃物で、それがいつの首を切り裂くか分からない。
「え、と……私は……」
必死で答えようとしたが、消え入りそうなその声は届いているのだろうか。
かなり至近距離だが、届いているか定かではない。
しかも衰弱しているせいか、意識は定まらず、頭も回らない。
視界は段々と霞に包まれていって、遂には意識を完全に手放した。
***
佐助は先の戦での残党がないか、夜の甲斐を見回っていた。
そろそろ城に戻ろうかと思い、最後にと森を見回っていた時、自分の主と同じか、それ前後の年の少女を見つけた。
最初は迷い込んだだけの農民かと思ったが、明らかにおかしい服装や雰囲気から、何か違和感を覚えた。
間者かと思い、苦無をその少女の首に当て付ければ、最初こそ平然としていたが、次第に怯えだし、何やら必死で言葉を紡ぎだす。
それを聞き取ろうとしても不可能だった。
全く相手の素性が知れないため、殺すのも気が引け、思案に暮れていると、その少女の全身の力が抜けた。
慌てて苦無を引っ込め、もう片方の手で少女の身体を受け止めると、驚く程軽い。
人間とは思えないほどに。
恐怖のあまり、失神したのかと思ったが、それだけではないらしい。
恐らく何日も食事を摂ってないのだろう。
これでほぼ100%間者の線は消えたが、この少女をどうするか。
忍としてならば、放って帰るべきなのだろうが、生憎自分はそんな心は持ち合わせていない。
(……やっぱり俺様、忍向かないのかな)
そんなことを考えながらも、少女を抱えて主の待つ城へと向かった。
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***
初ばさら。
結構無知ですが、お許しください。
そして短いことも、お許しください。
090714
100101 修正