A Time . -23-
最初は信玄の護衛をするように言われていたが、の希望で足軽として戦に参加することになった。
信玄の配慮なのだろうが、役にもたたない護衛などいない方がマシだ。
確かに足軽の方が危険は高まるだろう。
恐怖はあるが、何より世話になっている武田軍の役に立ちたい。
幸村には激しく反対されたが、そこは上手く説得した。
大きい戦ではないと言っていたし、慣れるにはちょうどいいだろう。
大きくはないといっても、少なからず死人は出るんだろうな、と考えると怖くなる。
「ちゃん、準備できた?」
「はい! ばっちりです!」
まだまだ体力の少ないは、普通の足軽より大分軽装だ。
動けないよりマシだろう、と最低限の装備だけ。
準備は万端。
緊張はしてるけど、落ち着いてる。
「よし、行こっか。ちゃんは旦那たちと一緒に別動隊ね」
「……はい?」
「馬も乗れるし、刀の腕もいいし問題ないよー」
「いや、そういう問題ではなく……」
別動隊って騎馬隊でしょ?
騎馬隊って馬乗りながら武器振り回すんでしょ?
いくら馬に乗れたって、刀振れたって両方できることにはならない。
ぶっつけ本番で命懸けるとか、無茶ぶりすぎる。
色々と突飛しすぎて、思考が追い付かない。
そもそも本気なのか。
言い出したのが誰かは知らないが、少し話し合いが必要な気がする。
は本気で悩んでいるというのに、佐助の方はお気楽に笑っている。
「大丈夫、大丈夫」
「いやいや……」
「とりあえず行ってみればなんとかなるから!」
話を聞く気はないらしい。
(なるようになればいいなぁ……)
幸村と一緒というから、少しは安心できるが、一緒だからといって守ってもらえる訳ではない。
「殿は某がお守りする!」
「……いや、趣旨変わっちゃってますから」
幸村と合流するなり、戦に行くとは思えないことを言い出した。
「お邪魔にならないように善処します……」
出陣前だというのに、なんだか既に疲労感が。
緊張感は和らいだ気がするが、逆にまずい気もする。
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120920