-022-
普段はあれだけ寝たい、寝たいと言っていても、いざ長時間寝てろと言われたら、落ち着かないものである。
つまりはじっとしていることに飽きた。
高熱と怪我のせいで怠かった身体も、丸一日寝たことで随分と軽くなった気がする。
長の話によると、高熱は二日続くはずだが、きっと忍だから早く回復したのだ、と勝手に都合の良い方向に解釈するとしよう。
さて、ほとんど回復した(つもりだ)し、これ以上じっとしていると身体が硬直するんじゃないか。
城の静けさから、恐らく今は夜だ。
見晴らしの良い丘まで散歩がてら行って、星を眺めるのも悪くない。
思い立ったが吉日だ、よし行こう。
傷はまだ大分痛むが、傷口が開かなければ問題はないはずだ。
長に見つかるとまた面倒くさいので、音を立てることなくひっそりと城を抜けるとしよう。
***
「なんでもういないのかなー……」
確か最低でも三日間は安静にしろと言ったはずだ。
彼女なら絶対にじっとしていられないだろうと譲歩しての三日だったはずなのに、なぜ既にいない。
何もこんな夜中に抜けなくてもいいものを……。
探しに行くこちらの身にもなって欲しい。
それにしても、まだ藤十郎による高熱も治らないはず。
彼女のことだからその辺でぶっ倒れることはないだろうが、安否が気になる。
***
久しぶりにこんなにゆっくりと星を眺めた。
そろそろ迎えが…………来た。
「で? 一応聞くけど、何してるの?」
「星が綺麗だなーって、たまには眺めたくなりません?」
「なってもそんな満身創痍の状態じゃここまで来ないね」
「城出たときはもう絶好調だったんですけどね、そんなことなかったです。頭いた……」
丘の上で横になったが最後、再び熱が上がってきたらしく、起きる気力を失ってるところに我らが長が登場した。
このまま誰にも気付かれないでここから動けなかったらどうしようかと思ってたが、さすが空気が読める。
まぁ、頃合いを見て、無理をしてでも帰る気ではあったが、どこかでこの人なら気付いて迎えに来てくれると思ってた。
「もう……三日くらい大人しくしててよね……」
「絶対の信頼の証ですよ。感謝して欲しいです」
「馬鹿なこと言ってないで帰るよ」
「それなんですけどね。思った以上に今身体が言うこときかないんですよね」
「…………はぁ……」
大きな大きな溜息を吐きながらも、なんだかんだ背負ってくれるところはやっぱり優しい。
……完治してから根に持たれそうだけど。
「長は優しいですね」
「そりゃどーも」
「兄さんを思い出します」
「…………」
「でも長は母様ですもんね」
「……怒るよ?」
「そういう長が大好きですよ」
熱に浮かされてる所為なのか、考える前に言葉にしている気がする。
その証拠に、既に何を言ったか覚えていない。
更に猛烈な眠気が……。
(……何、今の)
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