A Time . -13-
なんとか幸村を落ち着かせ、手当てを再開させるも、幸村の顔は依然真っ赤。
は先程の佐助の言葉を思い出し、赤面する。
そしてその様子を見て、佐助は面白そうに見ている。
「ジャケット……上着を脱いでください」
ジャケットという単語は恐らく通じないだろうと踏んで、通じる単語を探し、言い直す。
しかし幸村はそんなことは全く気にしていなかった。
「な、な、な!」
「手当てができないんです!」
上着を脱ぐという方が、幸村にとっては衝撃だったらしい。
見事に真っ赤に染まった顔を見ていると、の方まで顔が赤らんでしまう。
そもそも上半身はほとんど裸同然ではないか、と突っ込みも入れたくなるが、そこは我慢。
幸村は相変わらず真っ赤のまま渋々ジャケットを脱ぐ。
しかしの方は幸村の背中を見て唖然としてしまった。
そこには1本の大きな傷跡。
一直線のその傷跡は、恐らく刀傷だろう。
しかも今回の戦で、新しく小さな傷が増えている。
「殿、どうかなされたか?」
「あ、いえ」
思わず言葉を失ったに幸村が不思議そうに声をかける。
佐助はなんとなくの沈黙の意味を察しただろう。
しかし幸村は全く分かっていないよう。
その後の手当てもは無言のまま。
「なんで、戦なんかやるんですか?」
手当てが終わったと思ったら、突然真面目にそんなことを聞いたものだから、幸村はもちろん、佐助も少しばかり驚いている。
この時代には、戦など当たり前となっているからだろうけど。
「戦乱の世を終わらせるには、天下統一しか手はない。しかし戦なしに天下統一は不可能な故」
「……そうですよね」
目に見えて沈んだ。
そして3人を包む空気も一気に沈む。
しかし突然、俯き気味だったの顔が突然上がる。
「一つ、お願いします」
そう言うの表情は、先程の沈んだ空気からは想像出来ない程、凛としていて。
「私、これから空き時間に鍛練に励みます。だから、行けるようになったら、私も戦場に連れて行ってくださいませんか?」
その言葉には幸村も佐助も目を見開いている。
佐助は、が戦跡を見て、何日か何も出来なくなったことを知っている。
だからこそ余計に驚く。
「でもちゃん……」
「嫌なんです、知らないところでみんなが傷ついて帰って来るのが。ここの人達は突然やって来た私にすごい親切で、私のこと疑いもしなくて」
佐助の言葉を遮るようにして紡いだその言葉には、嘘ひとつない。
確かに戦場に慣れるのは大変かもしれない。
それでも以前とは心情が全く違う。
「しかし、女子を戦場に連れて行くなど……」
「そんなこと、気にしないでください。お願いします」
幸村にとって、女が戦をするなど邪道なのだろう。
それでもの決意は固い。
幸村にはどうにも出来ず、目で佐助に助けを求める。
「この前の見せてもらった限りだと、実力は問題ないと思うよ。後はちゃんの気持ち次第」
「私は大丈夫です。ここの皆様と接していると、強くならなきゃ、って思わされるんです」
いい加減泣いてばかりではいけないから。
最初、見知らぬこの土地に来た時は絶望した。
でも今は、強くなるためにこの時代に来たのだと思う。
だから、いつまでも甘えてはいられない。
そう思えるようになったのも、全てここの人達のおかげ。
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某Y様と某M様のラジオを聞きながら執筆したのですが、集中できない……!
いろいろな意味で、集中できませんでした。
でも少し進展。
なんか中途半端な終わりな気がする。
090901
100117 修正