A Time . -17-
翌日、は考えていた。
確かに現代では剣道で上位を争えていた。
けれども戦国時代であるこの世界では別だ。
竹刀と真剣では天地の差があるし、槍から短剣まで様々な武器がある。
剣道の型だけでは生きていけないのは目に見えているから、自分の戦闘スタイルを確立しないことには戦場に出られない。
ならどうやってそれを確立する?
長年やってきた剣道の型を崩すというのは、たぶん相当難しいこと。
体に染み付いてるものを、切り離さなきゃいけない。
「考えるより、実戦か…」
「うんうん。いい心がけ」
「ひゃっ!」
先程までこの部屋には自分1人だったはず。
だが今この場には佐助がいる。
「そんなに驚かなくても…俺様傷つく……」
「何も言わないで入ってきたからじゃないですか! それと独り言に反応しないでください!」
「はーい」
絶対まともに聞いてないな、と思いつつも、それ以上言うのはやめる。
きっと何度言っても同じ返事が返ってくるから。
それに今日は、わざわざ鍛冶屋に連れていってもらうのだから。
「準備出来てた?」
「はい。準備は万端です」
「じゃ、行こっかー」
「はい」
しゅっぱーつ、とか言い出しそうな勢いの佐助を見ながら、初対面のときのあの怖さはなんだったんだろう、としみじみ思う。
そういえば面倒見いいよな、とも思う。
たまに愚痴ってる気もするし、忍んでないし。
面白い人だ。
「……何でにやにやしてるの」
「あ、いや、なんでも」
道中余計なことを考えていたら、顔に出ていたらしい。
佐助には怪訝な顔をされたが、気付かないふりをする。
「あ、ここだよ」
少し歩いたところで佐助から声がかかった。
一目見ただけだと、鍛冶屋などとは思えない外観。
佐助がいなければ間違いなく素通りしていた。
「鍛冶屋って結構普通の家っぽいんですね」
「あー、ここが特別かも」
特別の意味をが問うより先に、佐助は中へと入っていってしまう。
それに続いても中へと足を踏み入れるが、思わず方向転換して逃げそうになる。
(とっても体育会系でいらっしゃる…!)
店主は見るからに、刀を造るというよりは、使う側。
しかもすぐに折りそう。
鍛冶屋というのだから、細身の老人がやっていると思っていたのに。
「いらっしゃい!」
声も大きかった。
これに関しては、武田ではよくあることなので、平然としていられたが。
「今日は幸村様は?」
「んー。今日は旦那じゃなくて、この子に」
店主は少し驚いたような顔をしたが、特に気にした様子もない。
「嬢ちゃん、自分の刀は?」
「ありません」
「そうか。じゃあ、着いてきな」
そう言われ、店主に店の奥へと導かれる。
そのときに、少しだけ佐助の目が、同情している風だった。
←Back Menu Next→
***
佐助のキャラが定まらない。
100808