突然雄叫び声が聞こえ、何があったのかと慌てて挙動不審になる。
そしてそのを見て笑う女中が何人か。
A Time . -07-
「うぉおおおお!」
かなり遠くから聞こえてきたそれ。
しかしすぐそこで叫んでいると思わせるほどの声量。
勿論は何があったのかと慌てたが、すぐ隣にいた同じ年代の女中は笑っている。
何故笑っているのかを問えば、思いがけない答え。
「幸村様が鍛練をしているのよ。手拭いを持っていくといいわ」
もしかして、本当に頭がおかしいのではないか。
そう思う反面、つい先日やってきた自分が、疑われもせず、受け入れられていることが嬉しかった。
「ありがとうございます。では、行ってきます」
それだけ言って、手拭いを片手に雄叫び声のする方向へと向かった。
少しくらい迷うかと思ったが、途切れることのないその声のおかげで、すんなりと幸村の元に辿り着くことができた。
そこにいた幸村の表情は、の知っているものではなかった。
目の前で槍を振るう幸村は、いつもの赤面状態ではなく、凛々しい武士そのもの。
つい見入ってしまっていたに幸村は気づいたらしく、ほんのり頬を朱に染めながら駆け寄る。
それが運動をしたためか、を見つけたからかは分からないが。
「殿! 丁度休憩に入ろうとしてた故、そ、その……共に団子を食わぬか?」
名誉挽回、とでも言うかのような言葉。
しかし一方は訳が分からないという表情。
実際訳が分からなかったのだが。
「あ、いや、そんなこと」
できるわけがない。
突然やってきた者が、突然侍女となる。
それだけでも有り得ない話なのに、更には主である幸村と団子を食すなど。
「普段は佐助と食っているのだが、今日は佐助がいない故、お願いできぬか。一人は寂しいでござる」
あの人は主と団子を食べているのか。
なぜか妙に納得しまう。
というよりこの人は、そんなに頻繁に団子を食べているのか。
そんなことより、ついに頼まれてしまった。
一緒に団子を食べることを。
主の言葉を断る術をは持っていない。
「あの、はい。それでしたらご一緒させてください」
それを聞くなり、幸村は一気に表情を明るくする。
「では! 某は茶を淹れてくるでござる!」
「いや、そんなことは私がやります!」
侍女を目の前に何を言っているんだ、この人は。
軽く呆れつつ、戦国武将って皆こうなのか、と思ってしまう。
ついでに忍も。
よく考えてみればお館様だって、とても優しいがかなり変わっている。
あんなに思いきり部下を殴り飛ばすし。
まぁ、そんなこと考えたところでしょうがない。
自分を無理矢理納得させ、思考を戻す。
そして幸村を半強制的に座らせ、茶と団子を取りに向かう。
しかし歩き始めてから重要なことに気付く。
「お茶ってどこで淹れるんだ? 団子があるところも知らないな」
ま、いいか、と開き直り、全て近くにいた女中に聞く。
言われたところに行けば、茶も団子も用意されていて、後は持って行くだけの状態になっていた。
聞けば、いつも自分で淹れてしまうから、とのこと。
成程、と納得し、早足で幸村の元へ向かう。
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もう少し長くしようとしてやめた。
しかし次がとっても短くなるんじゃないかと不安。
というかヒロインがアホの子なのだが。
090822
100117 修正