幸村の初陣は、すぐにやって来た。
そして幸村の初陣はの初陣でもある。
しかしには、幸村の様に初々しい心は持ち合わせてはいなかった。
-005-
今の幸村の心情を表わすとすれば、嬉しさ半分、緊張半分だろうか。
念入りに支度をしているつもりなのだろうが、他人から見れば、挙動不審にしか見えない。
「もう行きますよー」
「わ、分かったでござる!」
「ほら、そんなに硬くなってたら、ぐさっと行かれますよ」
(仮にも真田家の人間だから、今回は前線には出ないで、お館様の警護とかだろうけど)
「なぜはそこまで落ちついていられるのだ!」
「弁丸様とは違うので」
内心、兄さんもいるし、とも呟く。
今までは考えたこともなかったが、肉親とはなんて心強いものだったのか。
「弁……っ!」
幼名で呼ぶな、と言いたいのか。
何はともあれ少しは緊張が解れただろう。
「ほら、遅れるとまた佐助さんに怒られる」
「う、うむ!」
***
「遅い!」
「私じゃないです」
「……なっ!?」
案の定佐助には怒られ、は幸村を見捨てた形になったが、知ったことではない。
「はいはい。旦那は早く馬、乗って」
「そ、そうであった!」
緊張が少しは解けたと思ったら、またどもり出す幸村。
行動も挙動不審気味で、それを見る佐助の顔が少々引きつる。
「旦那、緊張してる?」
「してますね。とってもガラにもなく」
「大丈夫かなー」
「そのうち、楽しむようになりますよ。きっと」
「だといいんだけどねー」
それだけ言って、佐助は信玄や幸村のもとへ。
そしてもそのあとを追う。
まもなく出陣し、適当なところに陣を張った。
敵軍もさほど遠くない場所に陣を張っているらしく、両軍睨み合い状態だ。
そのまましばらく睨み合いが続くかと思ったが、信玄は先に動くことを決めた。
別動隊が一足先に敵陣の後方から攻め、時間差で本軍が正面から攻めるというもの。
今回、信玄は動かず、その護衛として幸村も残る。
佐助とは本軍と共に忍として加わる。
同じ初陣なのに、随分と扱いが違うことに、幸村は脹れていたが、忍と同じ扱いであるわけがない。
先に別動隊が敵に気付かれないように後方に回ったところで、本軍も出発。
そして遂に、戦闘開始。
別動隊が突撃したとの報告が1人の忍から入った。
本軍も進撃の準備を始めたところでもう1つの報告。
敵軍の兵の数が情報より相当多い、と。
欺かれた、とざわめきが広がるが、今更どうしようもないことも事実。
元々優位な戦ではなかった。
それに加え、ここまで食い違いが出ると、一気に戦況は悪くなる。
敵に気付かれにくいように、と別動隊の人数はごく少人数。
もちろんその中には実力者が何人もいるが、それでも数には勝てないだろう。
そしてその中にはの兄、六郎や、幸村の父、昌幸もいるわけで。
はその報告を聞いて、気が気ではなかったが、兄を信じ、落ち着く。
忍として、落ち着かなければならないと自分に言い聞かせ続けた。
報告が全て終わったところで、全員が一気に表情を引き締め、進撃の合図を待つ。
そして合図が出たと同時に本軍の騎馬隊、忍隊が勢いよく進軍を始めた。
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久々の更新になってしまいました。
本当に申し訳ありませんでした!
しかし成長は全くなく、相変わらずのgdgd。
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