-008-






も随分と今まで通りになった気がする。
あのまま少しくらい表情豊かになってくれたら、とも思ったが、戻ってくれただけで十分だろう。
前よりは、ほんの少しだけ表情も出るようにはなったし。


「十勇士ですか?」
「うん、そう」


以前、六郎にそのような話を聞いたことがあった。
そのときはあまりにも興味がなく、聞き流していたが。

話はこうだ。
少し前から佐助や六郎らで、真田十勇士というものが作る計画はされていたらしい。
しかし作られる前に戦が始まり、六郎は死亡。

一人人数が足りなくなってしまったのだという。
更に件の戦から、忍隊の統率を強めることが決められたらしい。
だから忍隊の実力者を集めた十勇士の結成を急ぐのだとか。

その十勇士を六郎の代わりにが、という話らしい。


「私、経験浅いですよ。それに……重すぎます」
「実力は問題ないから大丈夫。重いっていうのは六郎さんの妹として?」
「忍としても、妹としてもです。実力もそんなにあるように思えません」


そのの言葉に、佐助は溜息をついてみせた。


さ、少しは自信持った方がいいよ。誰もが選ばれたことに文句言えない」
「……分かりました。でも十勇士は兄さんです。その代わりを私が妹としてやります」
「それでいいの?」
「はい。やるなら兄のためにやります」


兄がやろうとしてたことだったら、兄の名で。ということだ。
それに、自分が十勇士などという、実力者の中に名を入れられる程、実際に自信がないから。


「十勇士の任務は、私が兄の名でやります」


その名はにとって、確かに重いけれど、兄のためだったら背負いたい。


「でも、佐助さんは長にもなるんですよね? 十勇士もまとめるなんて、大変じゃないんですか?」
「俺様は今までもすごーく忙しかったから大丈夫。それよりも、自分の心配した方がいいよ。もう旦那の遊び相手なんかやってらんなくなるから」
「…そうですね」


幸村の初陣からも任務につくことがあったが、数はそう多くなく、暇なときは鍛練、鍛練と言って手合わせに付き合わされていた。
これからはそれをする暇もなくなるのだろう。


「その方が、いいです」


忙しければ、何も考えなくていいから。


「一人で抱え込むなよ」


どこか寂しそうな顔をしたに気付いたのか、佐助はぽんっと頭を撫でて、そう言う。
は少し驚いたような顔をしていたが、素直にはい、と頷いた。




←Back Menu Next→


***



100819
140228 修正