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薬師からやっと解放されたところで、幸村からお呼び出しがかかった。
佐助と藤十郎の見張りをしていた忍も数名いて、それだけでなんとなく用件は掴めた。
「そろそろ藤十郎のことも分かってきただろう。問題がないようなら見張りを外す頃合いだと思うのだが」
いつまでも見張りをつけておくのは、失礼だということだろう。
きっちり信玄の考えを受け継いでいる幸村の意図は、なんとなく予想できる。
「私共は一日中監視していましたが、怪しい行動は見受けられませんでした」
見張りの忍の一人の言葉に、他の忍も同意する。
「俺は何とも言い難いですね。が一番分かると思います」
久しぶりに佐助の幸村に対する態度が忍らしくて違和感を覚えながらも、自分の考えを述べる。
「私は問題ないと思います。警戒するに越したことはありませんが、今のところ悪意があってこの城にいるとは思えません」
少し癪ではあるが、本心だ。
見張りに気付いているにしても、あれ程の技量があれば、幸村につけ入って殺すことなど容易いだろう。
間者であるならば、わざわざ怪しい人間になりきる意味もない。
そう考えれば、何から何まで怪しかった薬師は、間者の可能性は薄い。
「うむ。では見張りは外そう。しかし何かあればすぐに某に伝えてくれ」
幸村が呼び出したのは、それだけのためだった。
きっと彼は、藤十郎には仲間と言いながらも見張りをつけていることに心が痛んでいたのだろう。
「が見張り外すの許すとは思わなかったよ」
周囲の気配に対して気を配っていたはずだが、突然佐助から話し掛けられて少し驚いた。
流石忍隊をまとめるだけはある、と再認識する。
調子に乗りそうだから本人には言わないが。
「私の正直な考えですよ。今まで見てきた行動では、彼を敵とは思えない」
「一番近くで関わってたからね。それを信じるよ」
休憩を削られるのは勘弁してほしいが、確かに気付けば近くにいた。
いた、というよりは寄ってきたという方が正しいけれど。
「でも油断するなよ」
「分かってます」
急にそんなこと言われるとは少し驚いたが、もちろん忍として油断をするつもりはない。
でもなぜか藤十郎には、時々警戒を解いてしまいそうになるときがある。
恐らく彼の雰囲気からではあるけど、決していいこととは思えない。
(……気を付けなきゃ)
何かがあってからでは遅いんだ。
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謎回。
100911
140303 修正