数ヶ月が過ぎ、藤十郎は完全に城に馴染んでいた。
彼の気さくな性格からか、今やあらゆる人に慕われているらしい。
-016-
その日、幸村や佐助など一部は戦で城を離れていた。
それほど大きな戦でないため、城には多くの兵が残ってるが、普段よりだいぶ静かだ。
……うるさいの一人がいないだけで静かになっただけかもしれない。
はというと、前の任務で少し負傷したためお留守番。
実際戦闘には大して問題がないほどの軽い怪我だ。
もしかしたらたまには休めという、佐助の気遣いなのかもしれない。
「甘えさせていただいて、昼寝でも……」
説教する人もいないことだし、と目立たないところで寝ようとしたとき、何やら城がざわついていることに気付いた。
なんだなんだ、と思っていたところに部下が報告に来た。
高熱で何人も倒れた、と。
流行り病はタチが悪いなと思いつつ、重い腰を上げる。
しかし、生憎軍医は全員戦に狩りだされている。
(さて、どうしたものか……)
元々多くはないが全員連れて行く程の戦でもないのに、と悪態をついても始まらない。
「倒れたのは何人くらい?」
「今のところは五人だと……」
他にも似たような症状の者が多くいるらしく、曖昧な返事が返ってきた。
五人なら、まだ大事にならずに済むが、これ以上蔓延すると厄介だ。
「とにかく町医者三人ほど呼んできてください」
「承知しました」
サッと部下の忍が去った後で、自分は藤十郎に事情を話し、患者の集められた部屋へと向かう。
流行り病の可能性が高いため、できるだけ女中であっても近寄らせていないはずなのだが、次々と人が運び込まれて、人の出入りが絶えない。
「どうですか?」
も、多少の薬の調合くらいはできるが、それも忍の任務で必要なものだけで、医療の知識など無も同然だ。
薬師だって医学の専門だというわけではないだろうが、よりは知識があるだろう。
「わたしにも原因は分かりませんが……よほどの流行り病か、人為的なものかと」
「人為的……?」
「はい。ここまで広がるのであれば、その可能性も高い」
確かにちょうど戦で城に人が少ないときを狙ったとも考えられる。
と、すると間者が入り込んでいるか……。
間者は忍の方で探すとして、他の可能性も探らなくてはいけない。
しかし原因が分からなければ対処のしようがない。
出陣した兵の中にも被害が出ていないか確認するためにそちらにも忍を向かわせてある。
しかし城の方がこの被害だ。
向こうでも被害が出てたらすぐに報告が来るだろう。
それがないあたり、城の方のみの被害と考えた方がいい。
「でも流行り病だったら向こうで被害がないのはおかしい……」
出発はつい朝のこと。
人為的と考えた方が自然だ。
(一体誰がどうやって……)
朝餉は、戦へと向かった人たちも等しく食べた。
夕餉まではまだ大分時間がある。
そう考えると、食事に毒物が入れられたということは考えにくい。
「さん、町医者を」
「あ、はい」
呼んでいた町医者が到着したらしい。
町医者と薬師にその場は任せて、は城の中に異常がないか調べることにする。
可能性は皆無でないが、城のあちらこちらに忍がいるため、侵入者が入ったとは考えにくい。
「疑い始めたらキリないんだよな……」
でも今回ばかりはいい加減に投げ出せるようなことじゃない、か。
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久しぶりすぎてあれ。
長らく放置、すみませんでしたアア
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140303 修正