004













先程の事件で、恐らく自分はもうこの村にいられなくなるだろう。
どこかで冷静にそう考える自分がいた。

丁寧に両親の墓参りを済ませて、村を出よう、と決意する。

海に出てみれば、どこか平和な島に辿り着くだろう。
父の道場や、両親の墓と離れるのは、少し寂しいが、他に心を残すことはない。

そう思って、荷物を取りに行こうと帰路につこうとするが、自分の考えが甘かったと知る。

が静かに墓参りをしている間に、少佐の連れてきた海兵が、に気付かれないように囲んでいたらしく、が帰ろうとした瞬間に、一斉に海兵が飛び出してきた。

不意討ちでも、何本かは防げた。
それでも10以上もいる海兵の剣を、全ては防げず、傷がどんどん増えていく。
なんとか逃げて、逃げて、海辺まで来たけれど、勿論自分の船など持っているわけがない。

しかし運良く、小船を発見し、心の中で謝罪しながら飛び乗る。
繋がれていた紐を乱暴に切ると、遠くで銃声が聞こえて、耳元をかする。
急いで身を屈め、音が鳴り止むのを待つ。

銃声が落ち着き、冷静になってみると、出血が多く、小船が血塗れになっていることに気付いた。
死ぬのかな、なんて思っても取り乱さない辺り、自分は冷めていると思う。
でも予想以上に島には早く辿り着いて、助かった、なんて思ったけど、島に降りてみると人の気配は全くなかった。
奥まで進めば誰かいるかもしれない、とも思ったが、生憎もうそんな体力は残っていなかった。
自分で限界を悟り、木の根元で目を閉じる。

不思議と死に恐怖はなかった。
一人のこの世界よりも、死んだら両親に会えるかもしれない、という希望があったから。

でも運が良いのか悪いのか、はローに助けられた。




***




「成程な」


なぜこの男に話してしまったのだろう。
自分のことをここまで話すなど、今までなかった。

最初は簡単に話すつもりだったのに、いつの間にか全てを話してしまっていた。


「だったら尚更問題ねぇな」
「何がですか」


にやりと笑ったローに、再び警戒心を強める。
やはりこの男に話すべきじゃなかった、と後悔する。


「名前は」
「……
「そうか。、改めて言う。仲間になれ」
「は……?」


この男の意図が掴めない。


「話、聞いてましたか? 私は両親に守られて自分だけ生き残ってから、誰も私には関わろうとしませんでした。私もそれを望んでました」
「お前、少なからず海軍に追われることになるぞ。もしかしたら懸賞金がかかることにだってなるかもしれない。小物の賞金稼ぎにだって追われることになる。それでも独りで逃げるつもりか?」
「それでいいんです」


両親への罪の意識がそのことで少しでも和らぐならば、そうやって逃亡犯をするのもいい。
とにかくこれから先、人に関わることを避けて生きていきたい。


「そうやっていろんなことから逃げるのか」
「いろんなこと?」
「"過去"とか」


過去……から逃げる、か。




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***
ワンピは原作を持っていません。
何度も買おうか迷って、結局金欠に気付いて諦める。
でもコミックは借りてます。

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